食品ロス削減と品質向上のカギは「温度帯」にあり!急速凍結と最新解凍技術!
先日スパックラボ(パッケージプラザ高岡店)にて、厨房機器の総合メーカーであるホシザキ北信越株式会社様によるセミナー「急速凍結機と解凍機について」が開催されました。
昨今、食品業界では「冷凍技術」への注目が高まっていますが、いかに「美味しく」「安全に」冷凍・解凍するかは大きな課題です。
今回のセミナーでは、凍結の科学的なメカニズムから、昨年の夏に発売された業界唯一の最新解凍機まで、現場目線で役立つ情報をたっぷりと語っていただきました。本記事では、そのセミナーの内容をレポート形式でお届けします!
美味しさを守る「魔の温度帯」?急速凍結と緩慢凍結の違いとは

コロナ禍以降、在宅時間が増え、お手軽便利で保存性の高い冷凍食品を買う消費者が増えました。また近年では食材の物価上昇により安定している冷凍食品を購入する人が増えた背景もあり、冷凍食品市場は年々拡大し、外食・小売・ECまで幅広く活用が進んでいます。しかし、何度かお伝えさせていただいている通り、「ただ凍らせれば品質が保てる」というわけではありません。実は食品ロス削減や美味しさの維持には、「どのように凍らせるか=温度帯の管理」が大きく関わってきます。
特に重要なのが、冷凍の世界でよく語られている「最大氷結晶生成温度帯(-1~-5℃)」です。食品が凍っていく過程で、内部の氷の結晶が最も大きく成長しやすい温度帯のことです。この「-1~-5℃」をいかに素早く通過させるかが、食品品質を左右する大きなポイントとなるのです。
一般的な家庭用冷凍庫や業務用でも一部に多い「緩慢凍結」では、この温度帯をゆっくり通過します。その間に水分が大きな氷の結晶へと成長し、肉や魚、野菜などの細胞膜を破壊してしまいます。すると、解凍した際に細胞内の旨味成分や水分がドリップとして流れ出し、食感の劣化・風味の低下につながります。食品ロスの要因のひとつにもなり、せっかくの食材の魅力が失われてしまうのです。
「急速凍結」は、この最大氷結晶生成温度帯を一気に通過させることで、氷の結晶が大きくなるのを防ぎます。氷が細かく均一な状態で固まるため、細胞膜が壊れにくく、解凍後も”ほぼ生と変わらない”状態を維持できます。肉のジューシーさや魚のプリっとした食感、野菜の鮮やかな色味などをそのまま再現でき、付加価値の高い冷凍商品づくりに不可欠といえるでしょう。さらに急速冷凍は、衛生面でも大きなメリットがあります。食中毒菌が増殖しやすい危険温度帯(20~50℃)を短時間で通過させられるため、品質だけでなく安全性の確保にも優れています。製造現場のHACCP対応強化にもつながり、飲食店や食品メーカーにとって強力な味方となる技術なのです。
食品ロス削減、品質向上、安全確保。そのすべてのカギは「温度帯の管理」にあり。急速冷凍と最新解凍技術を活用することで、冷凍食品の可能性はこれからさらに広がっていくでしょう。
「冷風」と「液体」目的で選ぶ、2つの急速凍結方式

急速冷凍技術にはいくつかの方式がありますが、その中でも現場でよく採用されるのが「エアブラスト(冷風)方式」と「液体凍結(アルコール)方式」の2種類です。それぞれ特性やメリットが大きく異なるため、現場の課題や商品コンセプトに合わせて選択することが重要です。エアブラスト方式と液体凍結方式のそれぞれの特徴を紹介します。
①エアブラスト方式
エアブラスト方式とは、強力なファンで極低温の冷風を食材に直接吹き付け、短時間で凍結させる仕組みです。最大のメリットは、一度に大量の食材を処理できる点です。トレーに並べるだけで凍結が可能なため、真空パックなどの事前処理も不要で、作業効率に優れています。大量生産の向上や、品数の多い厨房で特に導入が進んでいます。ただし、空気は熱伝導率が低いため、液体方式に比べて凍結速度は劣ります。また風が当たり続けることで表面が乾燥するリスクもあるので特に水分の多い食材は注意が必要になるでしょう。
②液体凍結方式
液体凍結方式とは、-30℃前後に冷やしたアルコールなどの食品用凍結液に、真空パックした食材を浸けて一気に凍結させる方式です。液体の熱伝導率は空気の約20倍とされており、他とは比べ物にならないスピードで最大表結晶生成温度帯を通過できます。その結果、氷晶の成長を極減まで抑えられ、解凍後のドリップは最小限です。肉や魚は生に近い食感を保ち、刺身クラスの高品質を目指すことも可能です。しかし、液体へ浸す必要があるため、事前の真空パックが必須で、工程にひと手間かかります。
このように、両方式にはそれぞれ特徴があります。選定のポイントは「手間をかけずに大量に生産したいのか」それとも「手間をかけてでも最高品質を追及したいのか」。求める品質、提供スピード、現場のオペレーションに応じて最適な凍結方式を選ぶことで、食品の価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
2025年7月に販売開始! 業界唯一の「真空マイクロ波解凍機」がスゴイ

急速冷凍技術が進化する一方で、食品業界が長年抱えてきた課題が「解凍」です。どれだけ高品質に凍結できても、解凍時にドリップが出たり、表面だけが加熱されたりすると、せっかくの品質が失われてしまいます。こうした課題を根本から解決するために登場したのが、2025年7月に発売された「真空マイクロ波解凍機」(HVMシリーズ)です。最新技術によって「速い・ムラがない・品質が落ちない」という理想の解凍を実現します。
HVMシリーズの核心となるのが、新発想のハイブリッド解凍技術です。これは従来のマイクロ波と真空冷却を交互に行うことで、内部と表面の温度差を極限まで抑える仕組みになっています。まずマクロ波加熱によって食品の内部から効率的に温度を上げます。電子レンジと同じ原理ですが、業務用に最適化されており、加熱ムラが起きにくい設計です。続いて真空冷却が作動し、庫内を真空状態にして表面の水分を気化させ、外側だけをサッと冷却します。これを繰り返すことでよくある「中はまだ凍っているのに外が煮えてしまう」という解凍事故を防ぎ、均一で理想的な解凍を実現します。
解凍機に導入効果は非常に大きく、特に評価されているのが生に近い品質の再現です。氷晶が溶ける過程をコントロールするために、ドリップの発生を大幅に抑え、マグロや白身魚、精肉などの繊細な食材でも鮮度感を保ったまま提供できます。
また、解凍時間の大幅短縮も魅力の一つです。例えば、マグロのサクは、従来の温塩水解凍では約2時間を要します。しかし、HVMシリーズでは、約30~40分で完了し、さらにボタン一つで誰が操作しても同じ品質を再現できるため、厨房の省人化・標準化にも大きく貢献します。
冷凍から解凍までの一連の品質保持が求められる今、HVMシリーズは次世代解凍のスタンダードになる可能性を秘めているといえるでしょう。付加価値商品の開発や、作業効率の改善を目指す現場にとって見逃せない核心的な解凍技術といえるのではないでしょうか。
まとめ
急速凍結と最新解凍技術の進化により、食品の美味しさと鮮度を“そのまま”届ける時代が本格化しています。ポイントは、品質劣化を招く「最大氷結晶生成温度帯」をいかに素早く通過させるか、そして凍結後の“解凍ムラ”をどう防ぐか。エアブラスト方式・液体凍結方式といった多様な凍結技術に加え、2025年発売の真空マイクロ波解凍機(HVMシリーズ)は、均一で高品質な解凍を可能にし、作業効率も大きく向上させます。凍結と解凍の両面を適切に選択することで、食品ロス削減・品質向上・省人化を同時に実現でき、冷凍ビジネスの価値はこれからさらに高まっていくでしょう。
気になる方は是非スパックにお問い合わせください!