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HACCP(ハサップ)とは?徹底解説~食中毒と衛生対策~

皆さんは、HACCPとはご存じですか?暑い季節になると食中毒が発生しやすくなります。

「食品衛生法」の改正法案が可決され、2021年6月からHACCP導入・運用が完全義務化になりました。この記事では食中毒と衛生対策、そしてHACCPについて解説していきます。

食中毒と衛生対策

まず、HACCPを説明する前に基礎知識として、食中毒とは「食品に起因する胃腸炎・神経障害などの中毒症の総称」と定義され、多くは急性胃腸障害を起こします。食中毒を引き起こす原因として有害な微生物や化学物質を含む飲食物を食べることです。その結果生じる健康障害のことを指します。

食中毒が繁殖する条件は3つあります。

栄養

人にとって栄養となる食品は、細菌にとっても栄養源となります。調理器具類では、食品の残渣が細菌にとっての栄養源となります。

水分

細菌は食品中の水分を利用して増殖します。適量の水分の存在が不可欠です。

温度

ほとんどの細菌は10~60℃で増殖し、36℃前後で最もよく発育します。

次に食中毒予防の3原則です。

つけない

食品に菌をつけないよう清潔を心がけましょう。

増やさない

食品についた菌が増えないように、迅速な調理・提供と冷却を心がけることが大切です。

やっつける

食品は中心部が75℃で1分間以上加熱します。

食中毒を予防するためには、発生する原因を知り、食中毒予防の3原則を実施することが必要です。

HACCPとは?

次にHACCP(ハサップ)について説明します。HACCPとは、「Hazard(危害)Analysis(分析)Critical(管理)Point(点)」の頭文字をとってできた造語のことです。

これは、アメリカのアポロ計画の中で宇宙食の安全性を確保するために発案された衛生管理手法です。その後、食品業界に評価されたことをきっかけに、次第に広がり、今では衛生管理の国際的な手法となりました。

食中毒の原因を予測して、それを管理する方法をしっかり決めておくという衛生管理の手法のことをHACCPといいます。義務化の対象事業者はほとんどの食品等取扱業者が該当します。(一部対象外となる事業者あり。)

最初に説明した食中毒予防3原則は、衛生管理システムからみると「やっつける」及び「増やさない」はHACCP管理、「つけない」は一般的衛生管理プログラムということになります。

HACCPは7原則を含む12手順を進めることでHACCP計画を作成することができます。しかしその7原則12手順を小規模事業者が取り組むには負担が大きいとされています。製造に携わる人数が50名未満の小規模事業所には「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」である日本独自の簡素化した制度を義務化しています。

制度化で義務付けられている「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」では、各業界団体が作成した手引書を参考に実施します。導入のステップを次で詳しく解説します。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理

HACCP導入のステップは3つあります。①衛生管理計画の作成 ②実行 ③確認・記録・保管です。さらに定期的に振り返りを行うことで、より安全で衛生的な食品提供を目指すことができます。

ステップ1 衛生管理計画の作成

衛生管理計画は食中毒予防の三原則(菌をつけない・増やさない・やっつける)を基本に、今取り組んでいる衛生管理と取り扱っている食品に応じた注意点をあらかじめ明確にしておくことが大切です。小規模事業者における衛生管理計画は「一般管理」と「重要管理」の2つを考えます。

衛生管理計画の作成には、「いつ」「どのように」「問題があった時どうする」を決めることが重要になります。

重要管理ポイントの管理(主に調理工程の衛生管理)

重要管理とは「食品の調理方法にあわせて行うべき事項」である。例えば、小規模飲食店の場合、食品中で有害な菌が増えてしまう危険温度帯(10~60℃)を避けることが重要です。まず、「加熱」「冷却」が必要な食品について3つのグループに分けます。次にそれぞれのグループごとに安全な食事を提供する為のチェック方法を決め、管理します。

ステップ2 作成した計画の実行

ステップ1で作成した内容を、業務の中で実行していきます。計画した内容を確実に実行するには、従業員全員に知らせることが大切です。また、誰が行っても同じ手順を実行することができるよう、必要に応じて具体的な方法を定めた手順書を作成することも、徹底した衛生管理に繋がります。

ステップ3 確認・記録・保管

実行の結果を毎日記録します。1日を通して各項目で問題が無かった場合は、記録表に○を記入します。特に重要な問題があった場合は、必ず特記事項で詳細に事例と対応を書き込みます。記録は1年間程度は保管する。保健所の食品衛生監視員から提示を求められた場合は、すぐに見せられるようにしておく必要があるので注意が必要です。

まとめ

衛生対策を知るには、食中毒がどういった状況で発生し、特性はどんなものかを知る必要があります。衛生管理計画を立てるうえで、「どうすれば食中毒を防ぐことができるのか」よりも、「こうすると食中毒が発生する」と考えたほうが、より制度の高い計画書が出来上がるのではないでしょうか。

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