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【食品事業者向け】食品の保存方法3選|冷凍・乾燥・レトルト加工の特徴を比較

食品の品質を保ち、廃棄を減らすために欠かせないのが、食品に合った保存方法を選ぶことです。食品の保存方法には、冷凍、乾燥、レトルト加工などがあり、それぞれ保存の仕組みや向いている食品、導入するメリットが異なります。

この記事では、食品事業者が活用しやすい3つの保存方法について、特徴や活用例、注意点を紹介します。食品ロスの削減や新商品の開発、販路拡大を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

味や食感を保ちやすい「冷凍保存」

①冷凍保存の仕組み

冷凍保存は、食品を低温に保つことで微生物の増殖や、酵素などによる品質の変化を抑え、食品を長く保存しやすくする方法です。食品に含まれる水分が凍ることで、微生物が活動に利用できる水分が減少して、腐敗や品質劣化の進行を遅らせることができます。ただし、冷凍によってすべての微生物が死滅するわけではありません。解凍後に温度管理が不適切になると、再び増殖する可能性があるため注意が必要です。

また、冷凍保存では、単に温度を下げるだけでなく、凍結方法や保存中の温度管理も重要です。凍結に時間がかかると、食品内部で氷の結晶が大きくなり、細胞や組織にダメージを与えることがあります。その結果、解凍時に水分やうま味成分を含むドリップが流れ出し、食感や風味が損なわれる場合があります。食品の美味しさを保つためには、適切な温度管理と、食品の特性に合った凍結方法を選ぶことが大切です。

②急速冷凍と一般的な冷凍の違い

一般的な冷凍では、食品の温度が下がり、凍結するまでに時間がかかることがあります。特に食品内部の水分が凍る過程で大きな氷の結晶が形成されると、細胞や組織が傷つきやすくなります。そのため、解凍時にドリップが発生したり、肉や魚の弾力が失われたり、ご飯や惣菜の食感が変化したりすることがあります。

急速冷凍は、食品を短時間で凍結させる方法です。凍結にかかる時間を短縮することで、氷の結晶が大きく成長するのを抑え、食品の細胞や組織へのダメージを軽減しやすくなります。その結果、解凍時のドリップを抑え、味や食感、見た目などの品質を維持しやすくなります。ただし、品質の保持効果は食品の種類や形状、凍結条件によって異なります。何度かご紹介した「アートロックフリーザー」や「凍眠」のような急速冷凍を活用することで、食品の品質維持と計画的な生産・販売の両方を目指すことができます。

③冷凍保存に向いている食品

冷凍保存は、肉や魚だけでなく、米飯、惣菜、パン、洋菓子、果物など、様々な食品に活用できます。例えば、肉や魚は、適切な包装と凍結方法を選ぶことで、うま味や水分を保ちやすくなります。炊いたご飯やチャーハンなどの米飯は、乾燥やてんぷんの劣化による食感の変化に注意が必要ですが、適切に冷凍することで、解凍後もふっくらとした食感を目指せます。また、パンやケーキなどは、風味や食感、形状を保ちながら保存することで、製造した商品の販売期間を広げられる可能性があるのです。実際に、SPAC Labでは、パンやサンドイッチ、桜餅、焼き芋などの急速冷凍の実験も行いました。一方で、果物や野菜などの水分の多い食品は、解凍時に水分が流れ出し、食感が変わることがあります。そのため、すべての食品が冷凍前と同じ状態に戻るわけではありません。食品の水分量や組織、用途に合わせて凍結方法や解凍方法を工夫することが大切です。冷凍に適した食品を見極めることで、これまで難しかった商品の冷凍販売や新たな商品開発にもつなげられます。

④メリット

冷凍保存の大きなメリットは、食品の品質を保ちやすくするだけでなく、製造・販売の効率化や食品ロス削減にも役立つことです。急速冷凍などを活用すれば、食品の味や食感、色、見た目を維持しやすくなり、品質にこだわった冷凍商品の開発につながります。また、旬の時期に多く収穫される食材や、仕込みで余った食材を冷凍しておけば、必要なタイミングで活用でき、廃棄の削減が期待できます。

さらに、繁忙期に向けて商品をあらかじめ製造・冷凍しておくことで、仕込みや作業を分散でき、人手不足への対応や作業の平準化にもつながります。必要な数量を計画的に用意できれば、急な注文や需要の変動にも対応しやすくなるのです。

冷凍技術は通販やテイクアウト向けの商品開発にも有効です。店舗で提供していた料理や地域の特産品を冷凍商品として展開することで、遠方の顧客にも届けられる可能性が広がります。冷凍保存を単なる保管方法として捉えるのではなく、食品の付加価値向上や販路拡大を実現する手段として活用することが重要なのです。

⑤冷凍保存の注意点

冷凍保存を導入する際は、設備や包装、温度管理など、いくつかの点に注意が必要です。まず、食品を冷凍するための冷凍庫や急速冷凍機に加え、冷凍状態を維持する保管設備や冷凍物流の確保が必要になります。導入にあたっては、取り扱う食品の種類や生産量、保存期間、販売方法などを考慮し、自社に適した設備を選ぶことが大切です。

また、冷凍中の食品は、乾燥や酸化によって品質が低下することがあります。食品表面の水分が失われると、色や食感、風味が変化する場合があるため、食品の特性に合った包装資材を選ぶことが重要です。例えば、真空包装やバリア性の高いフィルムを使用することで、空気との接触や水分の移動を抑え、品質を維持しやすくなります。ただし、ケーキやパンなど、形状や食感を重視する食品では、脱気の程度や包装方法にも工夫が必要です。

さらに、冷凍前の衛生管理、凍結までの時間、保管温度、解凍方法なども品質に影響します。冷凍すれば安全性が保証されるわけではないため、適切な衛生管理と温度管理を徹底しましょう。設備・包装・運用方法を一体的に考えることが、冷凍保存を効果的に活用するポイントです。

過去記事参照(アートロックフリーザー)

水分を取り除いて長持ちさせる「乾燥保存」

①乾燥保存の仕組み  

 乾燥保存とは、食品に含まれる水分を減らすことで、微生物の増殖や品質の劣化を抑え、保存性を高める方法です。食品の腐敗には水分が大きく関係しており、利用できる水分が少なくなると、多くの微生物は増殖しにくくなります。このように、食品中の微生物が利用できる水分の割合は「水分活性」と呼ばれ、食品の保存性を考えるうえで重要な指標となるのです。

乾燥によって水分を取り除くと、保存性が高まるだけでなく、食品の重量や体積が減り、保管や輸送の効率化にもつながります。また、水分が減ることで甘みや旨味が凝縮され、独特の食感や風味が生まれることも特長です。ただし、乾燥させるだけで微生物や食中毒のリスクを完全になくせるわけではありません。食品の種類や用途に応じて、適切な乾燥条件や衛生管理を組み合わせることが大切です。

②主な乾燥方法

食品の乾燥方法には、自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などがあり、食材の種類や求める品質、製造量に応じて使い分けられています。

自然乾燥は、太陽光や風を利用して水分を蒸発させる方法です。大がかりな設備を必要としないため、比較的低コストで取り組めます。一方で、乾燥に時間がかかりやすく、天候や気温、湿度の影響を受けるため、品質を一定に保つには工夫が必要です。

熱風乾燥は、加熱した空気を食品に当てて水分を取り除く方法です。果物や野菜、肉など幅広い食品に対応しやすく、条件を管理することで比較的均一に乾燥できます。真空乾燥は、気圧を下げることで水分を蒸発しやすくする方法で、比較的低温で乾燥できるため、熱による品質変化を抑えたい食品に適しています。ただし、設備の導入や維持にコストがかかるため、目的や生産規模に合わせた選択が重要なのです。

③乾燥保存に向いている食品

乾燥保存は、果物、野菜、ハーブ、肉、魚など、さまざまな食品に活用されています。代表的な商品には、果物の甘みを楽しめるドライフルーツ、長期保管や調理に便利な乾燥野菜、肉の旨味を凝縮したジャーキー、保存性を高めた干し魚などがあります。乾燥によって食感や風味が変化するため、生の状態とは異なる商品価値を生み出せることも特徴です。

食品加工事業者にとっては、乾燥技術を活用することで、原材料の新たな用途を広げられる可能性があります。例えば、旬の果物や野菜を乾燥加工して通年販売できる商品にしたり、ハーブを乾燥させて調味料の原料として活用したりする方法が考えられます。また、形や大きさが規格に合わない農産物や、余剰となった食材も、品質や衛生面を確認したうえで加工することで、新たな商品につなげられる場合があります。乾燥保存は、食品の特性を生かしながら商品展開の幅を広げる手段の一つです。

④乾燥保存のメリット

乾燥保存の大きなメリットは、食品の保存性を高め、流通や商品展開の可能性を広げられることです。食品に含まれる水分を減らすことで、適切な条件下では品質を維持しやすくなり、保存や販売の期間を延ばせる場合があります。また、水分が減ることで甘みや旨味が凝縮され、生の食品とは異なる風味や食感を楽しめる商品を開発できます。

さらに、乾燥によって食品が軽量化されるため、保管スペースの削減や輸送効率の向上も期待できます。重量や容積を抑えられれば、物流コストの見直しにもつながる可能性があります。加えて、規格外の農産物や余った食材を乾燥加工して販売することで、原材料を有効活用し、食品ロスの削減に貢献できます。例えば、季節限定の果物をドライフルーツに加工したり、野菜を乾燥させてスープの具材として展開したりする方法があります。乾燥保存は、廃棄量の削減だけでなく、新たな商品開発や販売機会の創出にも役立つ技術です。

⑤注意点

乾燥保存を取り入れる際は、食品の種類や厚さ、含まれる水分量に応じて、乾燥温度や時間を適切に設定することが重要です。温度が低すぎたり乾燥時間が不足したりすると、水分が十分に取り除かれず、保存中に品質が低下するおそれがあります。一方、温度が高すぎると、食品の色や香り、食感が変化したり、栄養成分に影響が出たりする場合があります。安定した品質の商品を製造するには、乾燥条件を確認し、工程を適切に管理することが大切です。

また、乾燥後の包装にも注意が必要です。乾燥食品は、保管中に空気中の湿気を吸収すると、食感や風味が損なわれたり、保存性が低下したりする可能性があります。そのため、湿気の侵入を抑えられる防湿性の高い包装資材を選び、内容物や保存条件に合った密封方法を採用することが重要です。さらに、商品によっては酸素や光への対策も必要になります。乾燥工程だけでなく、包装や保管方法まで含めて管理することで、品質を維持し、安全で安定した商品供給につなげることができます。

過去記事参照(プチミニⅡplus)

常温で保存・流通しやすい「レトルト加工」

①レトルト加工の仕組み

レトルト加工とは、食品を専用の袋や容器に入れて密封し、高温・高圧で加熱殺菌することで、常温で長期保存できるようにする方法です。加熱によって食品中の微生物を殺菌し、腐敗や品質の劣化を抑えることで、冷蔵・冷凍に頼らない保存を可能にします。

一般的な製造工程は、食材の下ごしらえ、袋詰め、脱気・密封、加圧加熱殺菌という流れです。食品の種類や量に応じて適切な温度や時間を設定することで、安全性と品質の確保を目指します。

レトルト加工の大きな特徴は、調理した食品を長期保存できる商品へと変えられることです。例えば、飲食店で提供している料理をレトルト商品にすれば、店舗で食べるだけでなく、自宅でも楽しめる商品として展開できます。食品の保存性を高めるだけでなく、新たな販売機会を生み出す加工技術として、さまざまな食品事業者から注目されています。

②レトルト加工に向いている食品

レトルト加工は、カレーやスープ、煮物、パスタソース、炊き込みご飯の素など、煮る・蒸す・煮込むといった加熱調理を行う食品に幅広く活用されています。他にも、ハンバーグや魚料理、おかゆなどの介護職など、様々な商品に応用できます。加熱によって肉を柔らかく仕上げたり、魚を骨まで食べやすくしたりできる場合もあり、食べやすさが求められる商品の開発にも役立ちます。

また、飲食店の看板メニューや地域の特産品をレトルト加工すれば、お店の味を自宅で楽しめる商品や、お土産品、ギフト商品として販売することも可能です。例えば、地元の野菜を使ったカレーや地域で親しまれている煮物などは、魅力を伝える商品づくりにつながります。

しかし、すべての商品が同じ条件で加工できるわけではありません。食材の性質や加熱による品質変化を確認し、求める仕上がりに適した加工条件を検討することが大切です。

③メリット

レトルト加工のメリットは、食品を常温で保存・流通できる商品にすることで、販売や物流の可能性を広げられることです。適切な条件で製造されたレトルト食品は、冷蔵・冷凍設備を必要とせずに保管・配送できるため、保管スペースや配送コストの削減が期待できます。また、飲食店の料理をお土産や通販商品として展開すれば、店舗への来店以外の販売機会を生み出すことができます。さらに、規格外の農産物や余った食材を加工して商品化することで、原材料を有効活用し、食品ロスの削減にもつながります。旬の食材や地域の特産品に付加価値を加え、新たな商品として販売することも可能です。常温で長期間保存できる特性を生かせば、災害時の備蓄食品や非常食などの開発にも役立ちます。

④注意点

レトルト加工を行う際は、食品の種類や量、容器の形状などに応じて、適切な加熱温度や時間を設定する必要があります。食品の中心部まで十分に加熱殺菌できていなければ、安全性を確保できないおそれがあります。一方、加熱条件によっては、食感や色、風味などが変化する場合もあるため、安全性とおいしさの両方を考慮した条件設定が重要です。

また、使用する包装資材にも注意が必要です。レトルト加工では高温・高圧に耐えられることに加え、密封性や内容物との適合性などが求められます。一般的な食品用の袋が、そのままレトルト加工に使用できるとは限りません。食品の種類や加熱条件に適した専用の包装資材を選び、シール部分の強度なども確認することが大切です。

さらに、常温保存できる期間は、加工しただけで一律に決まるものではありません。適切な製造条件の検証に加え、必要な微生物検査や保存試験など、専門的な確認に基づいて賞味期限を設定する必要があります。設備や包装資材を選ぶ段階から専門家に相談し、安全性と品質を確認しながら商品化を進めましょう。

過去記事参照(達人釜)

まとめ

いかがでしたか?食品を保存すると言っても様々な方法があります。それぞれの特長を活かした保存方法でたくさんのメリットがあることが分かりました。それぞれ詳しく記事にしてあるのでそちらも確認してみてください。

一度実験してみたいと思われている方や相談だけ…という方も是非一度お問い合わせください。

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