冷凍しても、できたてのおいしさへ。鮮度・食感・風味を守る「プロトン凍結」とは?
SPAC Labでは、株式会社菱豊フリーズシステムズを講師にお招きし、「プロトン凍結」について学ぶセミナーを開催しました。当日は、冷凍時の品質低下を抑える技術の仕組みから、導入メリット、機器のラインナップ、食品への活用事例まで、資料を交えて解説いただきました。本記事では、私たちがセミナーで学び、実際に体験した内容をもとに、その要点をご紹介します。
「氷の粒を大きくしない」プロトン凍結の仕組み

株式会社菱富フリーズシステムズが展開する「プロトン凍結」は、冷風に均等磁束と電磁波を組み合わせた特許取得済みの独自技術により、高品質な冷凍を実現する急速冷凍システムです。一般的な冷凍では、食品中の水分がゆっくりと凍ることで氷結晶が大きく成長し、その過程で細胞膜が傷ついてしまいます。この状態で解凍すると、旨味成分や水分がドリップとして流出し、食感の低下や見た目の劣化につながることが大きな課題とされてきました。
プロトン凍結では、電磁波の作用によって食品内部に多数の氷核を同時に発生させ、さらに均等磁束によって氷結晶の成長を制御します。この2つの働きにより、氷の粒を極めて小さい状態で凍結させることが可能となり、細胞組織へのダメージを最小限に抑えることができます。その結果、解凍時のドリップや離水が抑えられ、食材本来の色・食感・風味を維持しやすくなる点が大きな特徴です。
また、冷凍後の品質が安定することで、作り置きや計画生産がしやすくなるほか、遠方への出荷や冷凍販売といった新たな販路拡大にもつながります。実際に、説明資料に掲載されたマグロの比較では、解凍時のドリップ流出量が一般的なフリーザーで約7%であるのに対し、プロトン凍結では約2%と大幅に低減されています。
また、冷凍後の品質が安定することで、作り置きや計画生産がしやすくなるほか、遠方への出荷や冷凍販売といった新たな販路拡大にもつながります。実際に、説明資料に掲載されたマグロの比較では、解凍時のドリップ流出量が一般的なフリーザーで約7%であるのに対し、プロトン凍結では約2%と大幅に低減されています。食材や条件によって差はあるものの、「冷凍しても品質を落とさない」ことを目指す現場において、非常に有効な技術といえるでしょう。
おいしさを守るだけではない、4つの導入メリット

プロトン凍結の価値は、冷凍食品の品質向上だけにとどまりません。高品質な状態で食品を凍結・保存できることで、製造方法や在庫管理、販売方法まで見直すきっかけになります。ここでは、プロトン凍結を導入することで期待できる4つのメリットをご紹介します。
【1. 冷凍食品の高品質化】
プロトン凍結は、凍結時に発生する氷結晶をできるだけ小さくすることで、食材の細胞へのダメージを抑えることを目指した凍結技術です。これにより、解凍時のドリップや食感の劣化を抑え、食材本来の味・香り・食感・見た目を活かした商品づくりにつながります。
例えば、肉や魚、野菜だけでなく、調理済みのおかずや米飯を使った料理など、従来は「冷凍すると品質が落ちやすい」と考えられていた食品にも、冷凍という選択肢を広げられる可能性があります。添加物に頼りすぎず、素材そのもののおいしさを活かした商品開発にもつながります。
【2. チャンスロス・廃棄ロスの削減】
食品を良い状態のまま凍結してストックできれば、「必要な時に、必要な量だけ」提供する仕組みをつくりやすくなります。売れ行きを見ながら必要な分だけ解凍して提供することで、作りすぎによる廃棄や、売り切れによるチャンスロスの削減が期待できます。
また、旬の食材を仕入れたタイミングで凍結しておけば、旬を過ぎた時期にも活用できるのです。収穫量が天候などに左右されやすい農産物や、水揚げ量が変動する水産物などの有効活用にもつながります。
【3. 作業の平準化】
繁忙期や注文が集中する日に合わせて、毎回ゼロから仕込みや製造を行う必要がなくなることも大きなメリットです。あらかじめ時間に余裕のある日にまとめて仕込み、凍結保存しておくことで、忙しい日の作業量を分散できます。
例えば、飲食店であれば仕込み作業の一部を前倒ししたり、食品工場であれば生産計画に合わせて製造した商品をストックしたりすることが可能です。作業の集中を抑えることで、早朝作業や残業の削減、特定のスタッフや職人に依存していた作業の平準化など、働き方の改善にもつながります。
【4. 新規販路の拡大】
高品質な状態で食品を保存できれば、「その場で売る」だけではなく、「保存して遠くへ届ける」という販売方法も選択しやすくなります。これまで商圏外だった地域への発送や、ネットショップ、ギフト商品、冷凍自販機など、新たな販売チャネルへの展開も考えられます。
さらに、冷凍によって旬の時期以外にも商品を提供できれば、販売期間を広げることも可能です。小ロットの商品を必要な分だけ製造・保管し、注文に合わせて出荷するといった運用にも活用できます。
このように、プロトン凍結は「おいしい冷凍食品をつくるための技術」にとどまりません。品質向上を起点に、食品ロスの削減、製造現場の効率化、そして新たな販路の開拓まで、食品事業全体の可能性を広げる技術といえるでしょう。
実際に食べて確かめた、プロトン凍結後のおいしさ

説明を受けた後、プロトン凍結・解凍されたサンドイッチを実際に試食しました。仕組みや数値を学ぶだけでなく、解凍後の見た目、香り、食感を自分たちで確かめる機会になりました。
【お寿司】

シャリの食感やネタとのなじみ方など冷凍・解凍後の状態を確かめました。
まず、見た目ですが、握りたてのものと特別変化があるようには感じませんでした。シャリの食感も保存していたものとは思えず、パサつきなどもなかったです。ネタも風味が損なわれることもなく、美味しくいただくことができました。
その他にも以前ご紹介したプロミネンス冷蔵庫で保存したサンドイッチも試食しました。

パンの食感や具材の水分、全体のまとまりに注目しながら味わいました。
まず、第一印象としては、今作ったと言われても違和感もなく、美味しくいただけました。パンのぱさつきもありませんでした。
キウイフルーツのサンドイッチは、クリーム・フルーツ共に、保存していたものとは思えず、クリームが分離したりフルーツの味が落ちたりすることもありませんでした。
キュウリのサンドイッチも、まずきゅうりのしゃきしゃき感が失われることもなく、マヨネーズも保存する前と味が変化することもありませんでした。
まとめ
いかがでしたか?今回は、プロトン凍結について詳しく学ぶセミナーを開催しました。プロトン凍結の価値は、冷凍食品の品質向上だけにとどまらないことがお分かりいただけたと思います。高品質な状態で食品を凍結・保存できることで、製造方法や在庫管理、販売方法まで見直すきっかけになるのです!
お忙しい中ご参加くださった皆様ありがとうございました。
スパックラボでは、気軽に機械を見たり実験したりできるので気になった方は是非一度お問い合わせください。